紳士靴の格式について
※9/15 記述を大幅に見直しました。
紳士靴には様々なデザインがあり、よくドレス-カジュアル(カントリー)における立ち位置が話題となることがある。
今回はその点について、個人的な整理を書いていきたいと思う。
格式があるのは黒の内羽根ストレートチップのみ
正装(フォーマル)として使用できるものは、『これのみOK』という考え方がされる。
(なおビジネスシーンでは『ここまでならOK』という考え方だ。)
正装において、靴は基本『黒の内羽根ストレートチップ』のみOKなのだ。
それ以外、装飾の多少は関係なく、全て『ふさわしくない靴』となる。
スーツにおけるダークスーツ=ストレートチップ
以下、本稿ではストレートチップ=黒・内羽根ストレートチップと解釈のこと。
ダークスーツはお堅いビジネスシーンから冠婚葬祭まで対応可能なスーツだが、靴におけるストレートチップの立ち位置はスーツにおけるダークスーツのそれとほぼ同様と考えることができる。
スーツに少しストライプが入ったとしたら、その目立つ、目立たないに関わらずフォーマルシーンのドレスコードに対して不適格になる。
靴も同じだ。
装飾が入ればその多少によらずふさわしくない靴となる。
つまりフォーマルシーンで認められるのはストレートチップのみとなるわけだ。
※例外
ただし、例外的(?)にストレートチップと同格と考えられている靴もある。
- パンチドキャップトウ
ストレートチップの一文字部分にのみパーフォレーションが施された意匠。
これはそもそもストレートチップと分けて考えられていないようだ。
(どちらも『キャップトウ』と呼称される。)
こんなやつ↓
- Vフロントのプレーントウ
外羽根プレーントウのアイレットが2個前後のモデルで、羽根がV字に開く意匠。
そのエレガントさから、後にストレートチップと同格と認められたようだ。
こんなやつ↓
内羽根プレーントウについて
ややこしい存在に内羽根プレーントウがある。
ストレートチップよりも装飾が少ない内羽根プレーントウであるが、夜の正装であるオペラパンプスの代替と見なされ、常用されない。
西洋の正装は昼の正装と夜の正装の2種類があり、昼は儀式で夜はパーティーをベースとしている。
つまりストレートチップと内羽根プレーントウは異なる頂点に君臨し、基本的には相容れない存在である。
そして現代でフォーマルなドレスコードというと、昼の正装をベースに簡略化されたものが主流なため、ストレートチップが適切となるのだ。
夜の正装であるタキシードを着る機会があれば、内羽根プレーントウはそれに合わせる最適候補となるだろう。
内羽根プレーントウは厳かというよりは華やかと言えるか。
補足:ビジネスシーンにおける選択
ビジネスシーンでは前述のとおり『ここまでならOK』というバッファがあるが、その基準は各人の職務や職場により千差万別だろう。
服装もダークスーツしかダメな職場もあれば、ジャケパン、はたまたTシャツデニムでOKの職場もあるわけで、一括りにすることはできない。
強いていうなれば『調和しているか』どうかを念頭に置くべきだろう。
ビジネスは服装で主張する場ではないので、悪目立ちすることは避けたい。
ここで気を付けなければいけないのは、カジュアル過ぎる場合だけでなく、ドレス過ぎる場合も目立つということだ。
特にストレートチップの扱いは難しい。
先に述べたように儀礼的な印象を与えるので、崩した服装にはそぐわない。
もし普段の服装が柄の目立つスーツであったり、ジャケパンである場合は、ストレートチップは避けた方がよいと個人的には思う。
まあ、迷ったらやめとく、が吉。
ビジネスにおいて服装は『マイナスを生まない』ことが重要なのだから。