靴界における答えの無い議論③ ~トウスチール(ヴィンテージスチール)~
答えの無い議論シリーズ第三弾、今回はトウスチールの是非だ。
トウスチールにはいくつか種類があって、その中でも最も著名なのがヴィンテージスチール。
これはラップ界におけるサランラップのように、トウスチールの代名詞のようになっているね。
さて、靴のつま先を保護する目的のこちら、擁護派と否定派が存在する。
靴に『返り』をつける
そもそもトウスチールはつま先補強、もしくは補修の手段だ。
よってつま先を守る、という観点から話を進めていきたいと思う。
グッドイヤーでレザーソールのつま先はがんがん削れていく。
一足目はみんなが驚いたはずだ。
レザーが削れやすい、ということはもちろんだが、もう一点、グッドイヤーの靴底は厚みがあって非常に硬い。そのためつま先と地面との摩擦が強くなるのだ。
しかし、緩和する方法はある。
事前にある程度曲げ伸ばしをして柔らかく(比喩表現)しておく。
固いものを曲げたいときに『ぐにょぐにょ』とやっておくと柔らかくなる、あれだ。
僕は室内で一定期間気が向いたときに履き、履きならす。
室内でキャッチャー座りをしたりアキレス腱ストレッチをしたりと、意識的にソールを曲げる。
一週間ほど1日30分も履けば十分だろうか。現状は靴が既に十分な量がありあせって下す必要がないため、何週間もだらだらと室内履きを楽しむことも多い。(これはこれで楽しい時間だ。)
これだけでも無為に外をいきなり歩くよりは格段につま先の削れ具合は緩和される。
少なくとも僕の歩き方ではウェルトに到達することはない。
それでもまだ固いな…と思う場合は靴の両端を持って、思い切ってぐにょっと曲げる。
これは効果てきめん。明らかに返りがついたことを実感できるだろう。
曲げたあとすぐに履けば形も戻り、全く問題ない。
注意点としては、僕は室内履きをして、履き皺がついた後に行うようにしている。いきなり曲げると皺がどうなるか分からない。(やったことない)
もう一点は、これも怖くてできていないことだが、コードバンも止めたほうが無難かもしれない。
どっかでイギリスの有名ビスポーク店で最後の仕上げにぐにゃっと曲げて顧客に渡す、という情報も目にしたことがあるし、概ね問題ない行為であることは間違いない。(でも自己責任でね❤)
※最初は固いけど、思い切ってやっちゃってください。(やらなくてもいいけど)
トウスチールの出番
では本題だ。
前段のように返りをつければ、そうそうつま先を保護する必要はない。
しかし…、こういった努力むなしく全く歯が立たなずに相変わらずガンガンつま先が削れていく靴も存在する。
それが『ダブルソール』の靴だ。
ソールが2重のため、固さも段違い。室内履きで馴染み切らせようとしたら、生きている内には不可能かもしれない。
そこで本領を発揮するのがトウスチール。
そう、つまり僕はレザーのダブルソールのものにはトウスチールを付けることにしている。
トウスチールもすごい勢いで削れていくのが恐ろしいような嬉しいような…
トウスチールの是非
否定派としては「床を傷つける」ことをポイントとしている。
ハーフラバーと異なり、他人に影響するポイントであることはミソだ。
個人的に実感はないがそういうこともあるのかもしれない。
そんなに傷つけるものなんだとしたら確かに快くないね。
しかしダブルソールのカントリーシューズでそんな大層な、床を気にするような場所に出向くことも考え難いし、僕の使用方法では問題にならなそうだ。
まあやっぱりその靴の使途によって答えは変わってくるのかもしれないね。